2010年2月25日木曜日

日本人の成功哲学-7




連載のシリーズの続きです。

さて、今日も前回の続きを続けてご紹介することにしましょう。

前回の締めくくりは・・・


最近では、特に都会のほうでは西洋の個人主義が強くなっている傾向にあるようで、ことわざでいわれているほどでもない・・・

などという人も多いようですが、それは表面的な話であって、日本人の本来の気質ともいえる価値観は、隠然として存在しているのです。

そのことは、素朴な現実を思い出すだけでも納得できるはずです。たとえば、入社試験に行く時に、学生達が、いっせいに「黒」や「紺」の服を着て髪形を社会人風にすることです。

これは「我を殺す」ということの誓約であり、証でもあるわけです。髪形やそういう服を着ることで「自分も集団主義者だ!」と主張していているのです。


というものでした。今回は、大別した3つ目の要素を紹介することにします。
前にも話をしましたが、日本の経営者によく使われる言葉に「現場主義」というものがあります。

これは「現場」「現物」「現実」の3つをとって「3現主義」と呼ばれることもあります。
2500年もの太古から、自然を崇拝し、自然から多くを学んできた日本人にとって「事実に学び、体験に学ぶこと」が最高の勉強だったのです。

日本には「不立文字」「以心伝心」などといった「ノンバーバル・コミュニケーション」を重要視する言葉があります。

これらは、実に「説明しにくく、説明を聞いても理解しにくい言葉」です。そのため「日本の価値観」は「観念的だ」と思われる傾向が強いようです。

しかしながら、それは大きな誤解で「行動主義」だからこそ「ことば」で表現しにくくなり、観念的に見えてしまっているだけの話なのです。

人間には、だれもが鋭い感性を持ち合わせているものです。その感性によって感じ取ったものを「ことば」で表現することは、正直いって不可能なのです。

トップセールスマンが、その秘訣を人に教えられないのは、そのためです。秘訣とかコツなどといわれるものは、全て「本人の感性」から生まれてくるものなのです。

これらの感覚を「ことわざ」としてものは数多くあります。

・艱難、汝を玉にす。
・成功は失敗のもと。
・若いうちの苦労は買ってでもせよ。
・獅子は子を千仞の谷に突き落とす。
・かわいい子には旅をさせよ。
・虎穴に入らずんば虎児を得ず。
・楽は苦の種、苦は楽の種。
・冬の寒きを経ざれば春の暖かさを知らず。
・労なくして功なし。
・大器晩成。
・早く成功した人は、早く亡びる。

このように並べてみると、日本文化における成功哲学のイメージが鮮明に浮かび上がってくることに気付くのではないでしょうか。

つまり、苦労をして、失敗をして、自己の中の原因を発見し、素直に反省し、その原因を根本的に解決する体験教訓を「ノウハウ」としているのです。

ここに日本人の「行動主義」「体験主義」がしっかりと根付いていることがご理解いただけるでしょうか。


数日前に、近藤真彦さんの「ざんばら」という曲が発売されましたが・・・この曲の歌詞は、まさに「苦労という体験から学んでいく」といった「日本人の心」が込められているように感じたのです。


カンチガイをされる方々がいらしてはいけませんので、付け加えておきたいのですが・・・

私は「西洋の成功理論」を否定しているわけではありません。自然を克服する、宇宙開発をする、といった「自然科学の分野」では、確かに欧米諸国は優れています。

しかし「人と上手に関わる」「人を相手に商売をする」といった「社会科学の分野」では、日本の文化は欧米諸国の文化とは比べ物にならないほど優れているのです。

歴史的に、そのようなことは多く起こってきています。アメリカで開発された自動車が、ビジネス(商売)となったら、トヨタが抜いてしまった。

こういう事実は、いくつも存在しているのです。理科系の方々が「欧米の優れた理論」を学ぶことは理に適っています。

しかし「ビジネス」や「商売」をされている「ジェネラリスト」が「50年ほど前に理論体系化された欧米理論」を重視し、2500年もの年月を費やして構築された「世界で特に優れた日本の商売哲学」を学ばないことは、理に適っていない・・・

そう伝えているだけなのです。この部分についての詳しい内容は、拙著なぜ、シマウマがトップ営業マンなのか? に詳細に記していますので、ここでは割愛することにします。


では、具体的に対応するポイントは何か・・・という話になるのでしょうが・・・ずいぶんと長くなってしまったので・・・ 
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今日のところはこれくらいで筆を置くことにしましょう。



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