2010年2月26日金曜日

日本人の成功哲学-8

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連載のシリーズの続きです。
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さて、今日も前回の続きを続けてご紹介することにしましょう。
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前回の締めくくりは・・・
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私は「西洋の成功理論」を否定しているわけではありません。自然を克服する、宇宙開発をする、といった「自然科学の分野」では、確かに欧米諸国は優れています。

しかし「人と上手に関わる」「人を相手に商売をする」といった「社会科学の分野」では、日本の文化は欧米諸国の文化とは比べ物にならないほど優れているのです。
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歴史的に、そのようなことは多く起こってきています。アメリカで開発された自動車が、ビジネス(商売)となったら、トヨタが抜いてしまった。
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こういう事実は、いくつも存在しているのです。理科系の方々が「欧米の優れた理論」を学ぶことは理に適っています。

しかし「ビジネス」や「商売」をされている「ジェネラリスト」が「50年ほど前に理論体系化された欧米理論」を重視し、2500年もの年月を費やして構築された「世界で特に優れた日本の商売哲学」を学ばないことは、理に適っていない・・・

そう伝えているだけなのです。というものでした。
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「日本人」と「西洋の人たち」の「成功観」というものは、これくらい違っているのです。その違いを示す、代表的な感覚があるとすれば・・・

それは「考える」という言葉に象徴されるかもしれません。「Think」という言葉が日本にやってくるまで、日本には「考える」という言葉は存在しなかったのだそうです。
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日本に古来からあった言葉は「思う」・・・ この「思う」では「Think」の意味が翻訳できないとして「考える」という風に翻訳され、現在に至っているのだそうですが・・・
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日本では「思う」と「考える」がごちゃごちゃになって「考える」という言葉で表現されているようなのです。
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より正確に言えば「考える(Think)」というのは「頭の中で、シュミレーションしてみる」と翻訳したほうが、その元の言葉の意味合いとしては正確だ・・・と、ネイティブの英会話の講師の方から聞いたことがあります。
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しかし、日本人の場合「考える」というのは「察する」とか「感じる」という意味合いも含まれてしまいますから、やはり「思う」と表現したほうが日本的な表現になるように思います。
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そもそも、西洋には「察する」という文化が存在していません。だからこそ「プレゼンテーション」が必要になってしまったという「風土研究者」のレポートがあります。
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そうそう、そのネイティブの英会話の講師の方が、おもしろいことをおっしゃっていました。「日本の【I Love You】」と「ネイティブの【I Love You】」は、意味合いが違っている・・・
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その英会話の講師の方によると、日本の【I Love You】は「私は、自分のことよりも、あなたのことを大切にします」という意味合いになり、ネイティブの【I Love You】は「私は、あなたのことを、大切な自分の次に大切にします。」という意味になるのだそうです。
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さらに、もっと興味深かったのは「チームワーク」という言葉です。西洋には「チームワーク」という感覚が元々なかったので、集団行動の効率性を語るために「チームワーク」という言葉が作られたようだが・・・
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日本には「チームワーク」という言葉がない。そもそも、チームワークが大前提だったがために、チームワークを象徴する「和」という言葉を提示するだけで、チームワークを思い出すことができたのだろう・・・とおっしゃっていました。
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仏教の言葉をお借りするなら「自利優先」の西洋、「他利優先」の日本。ということになるのでしょうか。
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こう考えると、西洋人の書いた成功論を読んだことがある人なら、あまりにも「日本の成功論」と「西洋の成功論」の対照的であることの矛盾を感じた理由、迷ってしまった理由を感じた理由がわかってくるのではないかと思うのです。
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正直な話をすれば、私も「この違い」が明確になるまでは、ずいぶんと混乱していたのです。
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では、具体的に気をつけるべきポイントはどこか・・・という話になるのでしょうが・・・ずいぶんと長くなってしまったので・・・ 
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今日のところはこれくらいで筆を置くことにしましょう。



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