「商売道」なぜ売れるのか、どうすれば売れるのか。: 思いつくままに・・・　No.6

「なぜ売れるのか、どうすれば売れるのか」シリーズの初めから読む

「新入社員」の「プロ意識」-3/4

新入社員も人間。新入社員も人生がある。

お金を払うお客さんが偉い。そして社長が偉い・・・　こんな感覚で全体を考えてしまうと、単に一方的な話となり、そうでなくてもチカラのない「新人イジメ」になってしまいます。喧嘩両成敗ではありませんが、やっぱり「新人には新人の言い分」というものもあるのです。わたし達のチームは、こういう時・・・　新人さんからも「会社の苦情」を聞いて、聞いて聞きまくるのです。

そうしているうちに、新人さんがどのような気持で働いているのかを知ることになります。何を、どうすればガンバれるのかを知ることになります。新人だから、粗っぽく対応しても良いということはないはずです。彼らも人間です。彼らにも人生があります。それを、乱暴に扱う会社では、新人もガンバリようがなくなってしまうのです。

新入社員の方々がから直接ヒアリングしてアンケートを行っていると、ほとんどの人が、まったく同じ精神状態にあることが明確になってきます。２ヶ月目、３ヶ月目・・・と時間がたつにつれて、希望より「不安」のほうが膨らんでいくようなのです。確かに・・・　古い記憶ですが・・・　そういわれれば、私が新入社員だったころも、そうだったような気もしてくるのです。

会社の様子がわかればわかるほど、会社の方針がわかればわかるほど、周囲にどのような人がいるのかわかればわかるほど「この会社にいて良いのだろうか？」と、迷いが大きく膨らんでいくものです。新入社員には１つのことが「希望」にも見えます。しかし、同じことが「不安」にも見えるのです。「この会社にいていいのかなぁ」と考え込むことになるのです。

入った会社に対しても不安。選んだ仕事にも不安。生まれて初めての体験の連続・・・　こういう風に考えてしまうのは、ムリのない心理だといえるのです。誰だってそうだったのです。もし、自分はそうじゃなかった・・・という人がいるなら、そういう人は、その頃の事を忘れてしまったか・・・　人生の折り返し地点を通り過ぎ、少々ボケが入ってきてしまったか・・・

こういうことがハッキリしてくると、14ヶ月目、15ヶ月目の社員、26ヶ月目、27ヶ月目の社員にも「苦情ヒアリング・アンケート」を行って事実関係を調べるに限ります。憶測でものを話しても話がドンドンこじれてしまうからです。「新人の頃の不安を打ち消したものは何だろう？」という内容で調査を進めるうちにハッキリしてきたことは「日常的な仕事の慣れ」しかないんです。

しかし、入社２ヶ月目、３ヶ月目の人が「仕事にも慣れたし、もう大丈夫・・・」といった安心感を持ち合わせるには時期が早過ぎます。というのも、入社14ヶ月目〜15ヶ月目の人たちにとって「仕事の慣れ」が「将来の不安」を「まぎらわしている」に過ぎないからです。彼らが入社１年目に特にイヤだと感じたこと、特に不安をあおられたことは・・・

「冷たい環境」があったこと。「思わぬ失敗」をしてしまった時の周りの対応。「不公正な慣習」が会社にあると感じた時。自分にとってのトラブルを未解決に放置されてしまった時。こういうことがあった時には、どんな新人でも「精神的にグラッとする」と誰もが口をそろえて言っています。「こんな会社にいて良いのだろうか？」「こんな仕事で良いのだろうか？」「このままで良いのだろうか？」・・・　と、そう考えるしか道がないような気になるのです。

では、どのように対応すれば良いのか？　実にカンタンです。「まる１年は、まだまだ一人前扱いをしない」という方針をしっかりと「企業として立てること」・・・「入社当初の１年は、手間とヒマをかけて人間として向き合うこと」・・・

コンサルタントとしてアンケートを分析した結果を述べるとするならば「仕事は、ある程度覚えて、一人前のような顔をしているけれど・・・　人間としては生まれてはじめて人生の不安に立ち向かっているのです。自分の中の不安と、どのように向き合えば良いのかという【こころの技術】は、まだ身についていない・・・」としっかり把握する必要があるのです。

（つづく）

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