「商売道」なぜ売れるのか、どうすれば売れるのか。: 思いつくままに・・・　No.8

「なぜ売れるのか、どうすれば売れるのか」シリーズの初めから読む

「自覚症状は、ありますか？」-1/5

「まぁ、いいじゃないですか？」-1/2

コンサルタントという仕事は、色々な経営者、経営幹部、人事責任者とお会いできるといった特権を持っています。それだけに、ある「物差し」を持ち合わせるようになります。とてもシンプルなところまで絞り込んでいくと「本気で仕事をしている人ほど、本気で怒る」という傾向があることがわかってきます。

期待できるだけの潜在能力を持ち合わせている人がサボっていると腹を立てる。これは「本気で期待していることの裏返し」ではないかと思います。極端な「いいかた」をすれば、「自分に対して本気で腹を立てる大人」「自分が責任を持とうと腹に決めた部下に対して、本気で腹を立てる大人」が非常に少なくなったのではないかと感じているのです。

この不景気に儲かっている会社の経営者は、例外なく「自分」に対しても「自分が最後まで責任を持とうとしている部下」に対しても、本気で腹を立てています。自分にも厳しく、自分の分身と思っている仲間に対しても非常に厳しいのです。街を歩いている時も、家にいる時も、会社にいる時も、大まじめに生きていらっしゃる「一人前の大人」は、本気で腹を立てているのです。

しかし、最近、街を歩いていても、家にいる時も、会社にいる時も「一人前の大人」が、だんだんと腹を立てなくなってしまったと感じています。そういう企業の、そういう幹部の人たちとばかりお付き合いをしていると、腹を立てない人のことが不思議でたまらなくなってきます。いったい「腹のムシ」をどこにおさめていらっしゃるのでしょうか。まったくもって不思議でたまらないのです。

腹を立てなくなった分だけ、人間が丸くなったとか、人間的に成長したとか、役職相応の器量を持ち合わせたとか、そういう「あいまいな評価」ばかりがまかり通っていますが、本気で経営をしている経営者と本気で話をすると、お互いが腹を立てるのが当たり前だと思うのです。

「コンサルタントをやっているおまえの言っている通りにやったが売れないじゃないか！」「いいや、やっていない！肝心な部分に手を付けずに何がちゃんとやったのだ？　ハンバーグ定食のハンバーグ抜きのようなことをやって、美味くないなどと言っているような話じゃないか！　肝心なのはハンバーグだ！」「よし！ハンバーグとやらに手をつけてやる！　それでもダメなら、おまえが責任をとれ！」「おぉ〜っ！取ってやる！口ばっかりでなく、肝心なところに手をつけろ！」

ここまで「乱暴な言葉づかい」はしませんが、腹の中ではお互いにこれくらい相手にも自分にも腹を立てながら、経営者とコンサルタントは会話をしているのです。その「怒りのエネルギー」が「素早い行動」につながっていくのです。だからこそ、そういう「本気の企業の業績」は、ドンドン上っていくのです。こっちだって本気です。コンサルタントは「エンドユーザーの代表選手」です。本気でその企業を応援する「熱烈なサポーター」なのです。

自分の大好きな、プロの「サッカーチーム」や「野球チーム」で応援している「応援団長」なのです。だからこそ、自分の大好きなチームの大好きな選手がエラーをしたり、ミスをしたりすると「なにをやっているんだよぉ〜っ！」と腹が立つのです。本気で応援しているからこそ、面と向かって「なんだよ！あのプレーは？！ガッカリさせてくれるじゃないか！」と、面と向かってお伝えしているのです。当然、そういう「ファンの声」をいちいち聞いてまわります。

驚くほどの人数の「ファンの声」を集めているからこそ、こちらも胸を張って「あなたのチームのここがいかん！」と憎まれ口を叩くことができるのです。その思いを「本気で受け取ってくださる経営者」は、私にも腹を立てますが、同時に自分にも腹を立てます。自分への怒りがはみ出して、私の方にまで飛び火してくるのです。「ちくしょぉ〜っ！　絶対に期待に応えてやるから見てろよ！」　こういう思いを持った経営者の会社の業績はドンドン上がっていきます。

（つづく）

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