「商売道」なぜ売れるのか、どうすれば売れるのか。: 思いつくままに・・・　No.21

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コミュニケーションについて

【意思の疎通】の無い、コミュニケーション？　-1/2

「最近の若いものは・・・」というようなコトバは昔から言われ続けているようですが・・・　特に、最近の上司と部下とのコミュニケーションには本当にズレているように感じます。特に、販売スタッフや、営業マン、開発マン、企画マン・・・　自分が優れた成績を収めた人に限って「カンが良い」「人に好かれる」「つきあって気分の良い人」だったりするものです。

しかし、そういう人が「上司」になると部下とのコミュニケーションが、いちいちうまくいかない・・・　本当に不思議です。そして、その謎が一瞬で氷解する事件が私のまわりで起こりました。「部下が仕事ができないから、セミナーをやって欲しい」という「ご依頼」を、その上司の方々からいただいたのです。そして、当たり前のように「社員研修セミナー」を行いました。

すると・・・　驚くほど吸収力があるというか、能力が高いというか・・・　どうしてだろう？と不思議でたまりませんでした。その謎を一瞬にして氷解させたのが、一般社員研修を受講した受講生の感想のコトバでした。

「どうして理解できるのか、先生は不思議がっているようですが・・・　わかるように伝えてもらえれば、私たちだってちゃんとわかる・・・　どうして、どの上司もあなたのように充分なコトバを駆使して、私たちに説明をしてくれないのか？　私たちは、そっちのことのほうが不思議でたまらない・・・」

私は「陰口を言う」のも「聞く」のも好きじゃない。どうせ伝えるなら、面と向かって伝えるほうが愛情がある。そう思っています。

受講していただいた若い人たちの言葉を聞いて「これって悪口だよなぁ・・・」と感じる反面、これが本当のニーズなら「世のために・上司のために聞いておかなければ・・・」という気持もどこかでわき起こってきました。「本人たちが伝えられないのならば、私が上司に伝えれば良い。誰が言ったのかを伏せておけば良い。これは、まさに普段行っているアンケート調査と同じだ」と思いました。

そこで「ガス抜き」の意味も含め、上司に対する日頃のウップン発表大会を行ってみたのです。そうすると、参加している若い人たちは、クチを揃えて同じことをいうのです。「私の上司は・・・確かに、仕事ができる。人間的にも尊敬している。お客さんに慕われていることも解っている・・・　でも・・・」

そうなんです。でも・・・　の先がありました。彼らの代表的な不満は、上司たちには「言語能力がない」「説得能力がない」「説明能力が足りない」・・・そして、これらの核心が上司と部下のコミュニケーションの「致命傷」となっていたのです。部下が仕事ができないのではなく、上司が部下に「理解できるように説明する能力」が足りない・・・　これが実のところ本当の「大問題の核心」だったのです。

逆に、仕事ができない上司だとわかってる。カンが悪い上司だとわかっている。付き合っている人が腹を立てるだろうということはわかる・・・　でも、確かに、この上司は説明が上手だ・・・　ただ「仕事のカンどころ」を抑えていないから、どうも話を聞いてもポイントがズレてしまっている・・・

どうせなら「仕事のできる上司」から説明を受けたい・・・　でも、話を聞いても「言葉の意味」がわからない・・・「何を言っていらっしゃるのか、サッパリわからない。困った・・・」　そう感じてしまう説明しかされない上司ばかり。

彼らが調子にのって言った言葉を借りると、たとえば営業マンの上司は、部下にこう説明するのだそうです。「君の営業に同行したが、さっきの交渉は、相手がビュッと来た時に、スッとかわして、トンと落ち着いた時に、ガッと攻め込まなきゃダメじゃないか」「はぁ・・・」

たぶん、正しいことを言っているのだろうから、素直に聞きたい。口答えもしたくない。でも・・・　ビュッときて、スッとかわして、トンと落ち着いたら、ガッと攻める・・・　これじゃ、さっぱりわからない。しかし、彼らには「理解したい」という気持がある。やっぱり、上司の問題のようです。

すみません。何だか、ずいぶん厳しいことをいってしまったみたいで・・・　でも、せっかくですから、この際「胸に手を当てて」思い返して欲しいのです。事務所の中で部下をつかまえて打合せをするにしても、お客さんの前でお話をするにしても・・・

まさに、部下をもつ「あなた」、お客さまと話をする「あなた」に要求されているものは「言語能力」なのではないでしょうか？　コミュニケーションで困っていませんか？　コミュニケーションをするチカラが弱まっていると感じることはありませんか？　自信はありますか？

部下の顔を思い出してみてください。あなたの方針や考え方や要求が、しっかりと充分に部下に伝わっていますか？　部下の顔を思い出した時点で「はぁ〜？」というような部下の顔が浮かんできてしまったのであれば、まるで伝わっていないの証拠です。　困った顔をして「ハイハイ」と返事をされているようでは、まるで、まるっきり伝わっていない・・・

一生懸命に、こちらがグチグチいったり、どなったりしているのに部下が黙って無反応でいるようでは、これはもう完全なる独り芝居です。

そういえば、愛知県での神社で「独り相撲」という神社の儀式があるそうです。稲作の神様と相撲をとって、見えない「稲作の神様」に勝ちを譲って方策を祈願するというものらしいのですが・・・　これが、まさに「独り相撲」の語源だったとは知りませんでした。しかし、そのコッケイな姿が可笑しくて、可笑しくて、たまらないのです。

それは、お客さまに対応しているあなたの姿・・・　それと全く同じではありませんか？　部下に対応しているあなたの姿・・・　それと全く同じではありませんか？　部下は良いのです。でも、お客さまという立場の相手からは、もっと自由で、もっと強い立場で、もっと高いポジションにいるわけですから「最高の言語能力」を要求されているのです。どこまでも際限がないほどに・・・

部下に対してもそうです。こと、お客さまに対しては・・・　これはもう「言語戦争」です。コミュニケーションなどという、あいまいで、カンタンそうなものではないのです。

「いくら説明しても、理解できないバカな部下だ」と、部下を批判する前に、上司としての自分の「説得能力」を根本からチェックしてみてはいかがでしょうか。きっと・・・　少しでも早めにそうしたほうが良いと思います。

「あんなに説明してあげたのに、わかってもらえない」などと、お客さんに対して不満をいう前に、社会人としての自分の説明能力を根本的に再チェックしてみる必要があるのではないでしょうか。

ところで、どうして「言語能力」の質が下がり、劣化してしまったのでしょうか。その手の内容が書いてある専門書には「マンガ」が原因だとか、色々なことが書いてあります。確かに・・・　確かに心当たりはあります。わたしもマンガで育った世代です。

マンガを買い込んで、絵は追っかけるけれど文字は飛ばしてしまう。そして、とりとめもない雑談はするけれど、とがった理屈を言うことはできなくなった。さらに、自分のことで精一杯で、他人のことまで気を回す余裕さえなくなった。

それに加え、自分の中に引きこもるばかりに一生懸命になって、相手へ関わる余力さえ残っていない。そこにきて、ビジュアル化の時代といわれ、言語の時代は遠くなった。とどの詰まり、吟味の時代といわ続けて久しく、それが今では鑑賞社会とさえいわれる時代になってしまった・・・

こういったことが色々な社会情勢や、文明の発達によって、諸現象、諸対応、諸条件などが重なって、社会の中から「言語能力」が進化して「説得能力」の技術を身に付けるチャンスまでも逃がしてしまっているのではないでしょうか。

ぼぉ〜っとしていれば情報が自動で入ってくる状態・・・　もう、取り返しさえつかない「ラクチンで生きていける環境」が完全にできあがってしまっているのです。いくらでも手を抜いて情報を得ることができる時代になっているのです。

大変です。これは、本当に大変なことです。うちの部下は仕事ができない。うちの社員は説明ができない・・・　そんなことを言っている場合じゃなかったのです。実は「部下」は仕事ができる。実は「社員」も仕事ができる。しかし「あなたの説明が意味不明」で仕事を理解することができなかった・・・これは問題です。大問題です。

（次回に続く）

さて、今日はこのあたりで・・・

「バカな部下、話をしても通じない。そういう上司の言葉が足りない。」

（つづく）

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